2006年春闘方針(目次)

はじめに

1. 情勢

(1)大企業優遇、国民総犠牲政治の強化
(2)米軍の再編成
(3)自民党の改憲草案
(4)消費税・サラリーマン増税問題

2. おもな課題と要求

(1)労働者の生活・権利を守る要求
(2)国民生活を守る要求
(3)平和と民主主義を守る要求

3. たたかいのすすめ方

(1) 賃金引上げと全国一律最賃制の実現をめざすとりくみ
(2) 官民共同のとりくみ
(3) リストラ反対・争議支援、「働くルールの確立」をめざすとりくみ
(4) 年金改悪法の見直し、消費税・サラリーマン増税に反対するとりくみ
(5)郵政の公共性を守らせるとりくみ
(6) じん肺根絶、東京大気汚染公害裁判闘争勝利めざすとりくみ
(7) 憲法・教育基本法改悪阻止しイラクから自衛隊の撤退、核兵器廃絶、平和を守るとりくみ
(8) 千代田総行動のとりくみ
(9) 組織強化のとりくみ
(10) 教宣・文化活動
(11) 共闘の強化

4. 春闘共闘の組織と運営

(1)組織方針
(2)結集を強めるオルグ活動
(3)組織の運営

5. 春闘共闘の財政



はじめに


 05年9月に行われた総選挙で自民党は、雇用や生活不安をかかえる国民の「現状を変えたい」という思いやマスコミを利用し、圧勝しました。
 その結果、衆議院は自民党・公明党の与党で3分の2の議席を占めました。
 そうした経過を背景に、小泉首相は、憲法改悪をはじめサラリーマン増税、医療改悪、公務員の削減、労働法制の改悪を強行しようとしています。
 小泉政権による大企業優先・国民に痛みのみを押しつける構造改革は、耐震偽造問題などにみられるように、人の命も省みない利権第一主義の政治が生み出した結果です。
 春闘は企業内主義的弱点を持つ日本の労働組合が、春の時期に一斉に要求を出し、全国統一闘争によって社会的相場の形成をはかり、社会的水準の賃金を勝ち取る労働組合の統一闘争として1956年にスタートしました。そして、1989年の労働再編を期に、新たな国民春闘の発展をめざし、1990年、国民春闘共闘が結成され、春闘再構築が進められてきました。現在の私たちの生活や権利は、こうした春闘によって築かれてきたものです。
 06年春闘は、労働者・国民の生活改善をめざす春闘と位置付け、将来展望が持てる賃金引き上げを勝ち取るために全力を尽くすとともに、非正規労働者の共感を得る賃上げ、労働条件改善と憲法改悪阻止、福祉・教育・社会保障の充実、消費税増税阻止など国民的課題の実現をめざします。また、労働組合の組織率低下からその社会的影響力の低下が言われているなか、要求実現のために組織化の強化・拡大をはかっていきます。
 今こそ、春闘発足の理念に立ち戻り、企業枠を超えた共同のたたかいが必要です。組合員の要求とエネルギーを結集し、職場・地域から総決起して行こうではありませんか。千代田春闘共闘は全力をあげてたたかいます。  

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1. 情勢

 (1)大企業優遇、国民総犠牲政治の強化

 42日間の特別国会が終了し、郵政関連法案、障害者「自立支援」、テロ特措法延長、労働安全衛生法等改悪などの悪法が目白押しで成立しました。
 05年10月31日、小泉首相は内閣改造を行い、安倍官房長官、麻生外務大臣、谷垣財務大臣など靖国参拝の改憲推進論者を多数起用し、今後も対米・財界追随を一層強める姿勢を明らかにするとともに、「官から民へ」「国から地方へ」など「小さな政府」への「改革」が不可欠であることを強調し、「構造改革」路線を加速させています。
 イラク戦争に対する日本政府の対応、首相の戦争犯罪人を合祀した靖国神社への参拝、過去の侵略戦争と植民地支配等に対する日本政府の歴史認識は、アジア・欧米諸国、さらに国際的にも、孤立を深めています。
 05年11月18日に開催されたアジア太平洋経済協力会議(APEC)の際、韓国の盧泰愚大統領と会談した小泉首相は大統領から「参拝は韓国に対する挑戦」と抗議され、釈明した首相に対して大統領は「いくら善意に解釈しようとしても韓国民は絶対受け入れない」と語り、恒例化している半年に一度の相互訪問についての日程が決められないなど外交上も行き詰まりを示してきています。
 小泉内閣は、郵政民営化に続き、「公務員の総人件費削減」、国庫負担金や地方交付税など、国から地方への財政支出を減らす「三位一体改革」、医療費抑制のため政府目標、公共サービスを民間に開放する「市場化テスト」の本格導入、政府金融機関の統廃合などを行い2010年初頭に基礎的財政支出の黒字化をめざすとしています。
 とりわけ公務員削減では、財政諮問会議が「5年間で5%以上」、自民党行政改革推進本部は「国・地方合わせて10年間で20%削減」、民主党前原党首も「もっと多くの人件費が削れる仕組みを提案する」と削減を競い合っています。
 しかし日本の公務員数は、フランスの3分の1、イギリスの半分、アメリカの4割、ドイツの6割であり、竹中総務相も認めるものとなっています。
 国民生活をめぐっては、医療・年金・介護など社会保障の大改悪、扶養控除の廃止や住宅控除の廃止などサラリーマン増税と消費税の大増税が行われ、労働者・国民の生活破壊がすすんでいます。

 (2)米軍の再編成

 米国の全世界での覇権維持を狙いとした米軍基地再編により、日本はより深く米軍事戦略に組み込まれようとしています。
 これに対して、沖縄県の稲嶺知事「絶対容認できない」、名護市の岸本市長「受け入れられない」、神奈川県の松沢知事「このままでは承服できない」、千歳市の山口市長「受け入れがたい」、苫小牧市の桜井市長は難色を示し、原子力空母配備の横須賀市では浦谷市長「反対だ。失望した」、座間市の星野市長「反対だと表明する」など関係するほとんどの自治体が反対しています。
 ところが、国民の意思を汲み取らない日本政府は05年10月29日、全国の自衛隊基地と米軍基地との一体化と米軍移転にかかる数千億円の費用は日本の血税を投入することを内容とした中間報告を発表しました。最終報告は06年3月にまとめられる予定です。

 (3)自民党の改憲草案

 自民党は05年10月28日、「新憲法草案」を発表。前文から侵略の反省を削除し、反面国民に「帰属する国や社会を愛情と責任と気概をもって自ら支える責務」を求め、9条については、「戦争放棄」の一項はそのままにし「戦力不保持」と「交戦権否認」を定めた二項を削除、新たに自衛軍の保持と「国際協調」のための活動、「公の秩序維持」の活動などをあげ、海外派兵を可能にしています。基本的人権を規制し、靖国参拝なども可能なものとしています。また、発議要件を過半数としています。全体として国民の基本的人権を規制し、戦争への動員体制を可能とするものとなっています。
 民主党憲法調査会は05年10月27日、憲法改正案発議のための手続き法案大網と改憲のため国民投票法案大綱を了承し、改憲に向けて大きく踏み出しました。
 準備されている国民投票法案は、「国民投票運動に関し、公務員、公団職員、教育者、外国人などの投票運動を禁じていること、新聞雑誌や放送事業者の報道の自由に不当な制約を加えていることなど、憲法改悪を目的としたものであり、そのために国民の意思を反映させない重大な欠陥を含むものです。
 憲法改悪反対、九条改悪反対の立場から、投票法案は国会に提出させない運動が求められています。

 (4)消費税・サラリーマン増税問題

 05年11月15日、政府税調は06年度税制改正答申の骨格を固めました。所得税と個人住民税の定率減税は、「07年に全廃すべき。総額一兆円の企業向け減税も来年3月末の廃止を盛り込む。」とされています。国民の声に押されて企業向け減税の廃止もいわざるを得なくなりましたが、選挙のさい自民党は「サラリ−マン増税を許さない」と公約。それを詭弁で簡単にひっくり返すことに変わりありません。
 自民党の財政改革研究会は05年10月24日、消費税の「福祉目的税化」を柱とする財政再建策に関する中間答申をまとめました。そこでは消費税率を引き上げる必要があるとされています。

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2. おもな課題と要求

(1)労働者の生活・権利を守る要求

@ 賃下げ許さず、賃金の底上げと、成果主義賃金導入に反対し、誰もが生活できる賃金を。
A パート、臨時、アルバイト、派遣など、有期雇用労働者等の均等待遇。
  「誰でも時給1,000円以上、日額7,400円以上、月額150,000円以上」の賃金を。
B 全国一律最低賃金制の確立。産業別最低賃金の確立。
  企業内最賃・地域最低賃金の大幅引き上げ。公契約条例制定。
C リストラ・首切り反対、雇用の確保と拡大。
  希望者全員の定年延長・雇用継続。解雇規制法・労働者保護法の制定。
D 労働時間短縮、週40時間・完全週休2日制の即時実施。
  残業時間の規制と割増率の引き上げ、サービス残業の根絶。
E 労働者保護法制を骨抜きにしリストラ・「合理化」をすすめる「労働契約法制」反対。
  実効ある男女平等法を。
F 「公務員制度改革大綱」の撤回。公務リストラ反対。
  公務員労働者の労働基本権の回復。
G 1047名の解雇撤回・国鉄闘争をはじめとするすべての争議の勝利。
 
(2)国民生活を守る要求

@ 国民生活無視の小泉「構造改革・規制緩和」反対。
A 年金改悪の見直し。最低保障年金制度の確立。混合診療導入反対。
  医療・介護など社会保障の拡充。
B 消費税の大増税反対。所得税・住民税の定率減税廃止反対 
C 義務教育費国庫負担廃止など教育、医療、福祉を破壊する三位一体改革反対
D 「不良債権早期最終処理」反対、銀行の貸し渋り・貸し剥がしを許すな。
  銀行への税金投入反対。中小企業を守れ。
E 食糧主権の確立。食の安全確保。コメ・農産物の全面自由化反対。食糧の自給率向上。
F 石原都政の福祉切り捨て反対、都民生活を守ろう。
  保育園、児童館などの民営化をすすめる千代田構造改革反対。
G 大気汚染・じん肺・アスベストなどの被害者の救済。公害・職業病、薬害の根絶。

(3)平和と民主主義を守る要求

@ イラクから自衛隊の撤退、米英軍はイラク占領を止め、国連中心の復興を。
A 憲法改悪阻止、自公民による憲法改悪を目的とする国民投票法案反対!
B 教育基本法改悪反対、日の丸・君が代の強制反対。
  30人学級などゆきとどいた教育の実現と私学助成の拡充を。
C 国公法弾圧・ビラ撒き弾圧など、言論と表現の自由を守ろう。
D 企業・団体献金反対、小選挙区制・政党助成法の廃止。民意を反映する選挙制度改革を。
E 侵略戦争の責任を明確にし、戦争被害者への国家補償を。
F 核兵器の廃絶! 米軍基地撤去! 日米安保条約破棄!

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3. たたかいのすすめ方

(1)賃金引き上げと、全国一律最賃制の実現をめざすとりくみ

 財界は経済のグローバル化、国際競争力を強めるとして、リストラ・賃金抑制で官民問わず賃金は切り下げられ、さらに低賃金・非正規雇用の増大を図り、全体の賃金を引き下げています。労働者だけでなく中小企業事業者、商工業者、農民、年金生活者など国民全体の生活破壊が進んでいます。
 これに歯止めをかけるには、職場内において要求やスト権の確立、交渉力の強化、産別・地域総ぐるみの統一闘争など組合の力を集中したとりくみが重要です。さらに生計費原則にもとづく全国一律最低賃金制を確立し、それを基礎とした誰でも安心して生活できる、最低限度を保障する制度(ナショナル・ミニマム)の実現がいま急務となっています。そのために下請単価保障、農産物の最低価格保障、最低保障年金制度の確立など全国民の最低生活保障をめざし、労働者、農民、青年、婦人、商工業者、中小企業事業者など国民各階層との結合を重視し、国民共同行動を進めていくことが求められています。 

 具体的には
@ 賃金引き上げをめざし、「賃金要求相互支持共同行動追及運動」をすすめます。
  また、ビクトリーマップの宣伝など大企業労働者、未組織労働者を激励する宣伝行動を行います。
A 賃金底上げをめざし、パート・有期雇用労働者等の均等待遇、
  「時給1,000円以上、日額7,400円以上、月額150,000円以上」、
  企業内最賃の確立と引き上げ、地域最賃の引き上げ、全国一律最低賃金制の実現めざしとりくみを進めます。
B ナショナル・ミニマムの軸としての全国一律最低賃金制の法制化めざし、
  学習、宣伝、署名、政府各省庁、区・区議会への要請行動などにとりくみます。
  また、官民交流会など官民共同行動、国民各階層など他団体との共同行動を追及します。
C 公契約条例制定のとりくみをすすめます。

(2)官民の共同の取り組み

 小泉自公政権は、「小さな政府」「官から民へ」の名の下で国民負担増と格差社会の拡大を進めています。
 構造改革(規制緩和)なくして経済再生なし、公務は基本的に非効率として、公務の外注化や民営化、又、国の事業として行わなければならない場合でも「独立行政法人」にしていくなど、総人件費削減政策と相まって、国民サービス切り捨て、弱者切り捨ての政策をますます強めています。50年ぶりと言われる「査定昇給導入の給与制度見直し」「職員評価制度導入」「勤務条件の改悪」など、物言わぬ公務員作りを強引に押し進めてきました。
 公務員制度改革は民間における就業規則や労働条件に大きな影響を与えます。これまで進めてきた官民交流会、官民の共同行動をさらに強化し、相互理解と連帯、共闘を発展させます。

(3)リストラ反対、争議支援、「働くルールの確立」めざすとりくみ

 労働者に一方的に犠牲を強いるもので、生活権・生存権を奪うリストラを許さず、雇用を守っていくたたかいに全力を上げとりくみます。
 解雇・差別でたたかっている争議の一日も早い勝利めざし、とりくみを強めます。また、整理解雇4要件の法制化を含む解雇規制法の実現にむけ宣伝、署名、政府への要請などにとりくみます。
 サービス残業をなくし、時短を進めて雇用の拡大を図り、人間らしい生活を営むために長時間労働をなくすことが急務となっています。これらについても共同闘争にとりくんでいきます。
 労働組合の存在と機能を否定し、リストラ・「合理化」をすすめる「労働法制」の改悪を許さない運動を強めていきます。

(4)年金改悪法の見直し、消費税・サラリーマン増税に反対するとりくみ

 消費税増税や介護保険料徴収対象の拡大、混合診療導入など介護・医療な改悪が行われようとしています。
 春闘共闘として、「消費税をなくす千代田の会」、「千代田社保協」とともに学習、宣伝、署名活動と、政府、区議会への要請などにとりくみます。

(5)郵政の公共性を守らせるとりくみ

 07年10月に郵便、郵便貯金、郵便保険郵便局の窓口を分離した窓口ネットワークの4会社に分離する計画が進められている。郵政のユニバーサルサービスを守るため、「郵便局と文化、ふるさとを守る千代田の会」(略称、郵政千代田の会)を中心に取り組みを進めます。

(6)じん肺根絶、東京大気汚染公害裁判闘争勝利めざすとりくみ
 被害者の救済、じん肺の根絶めざし「じん肺東京支援連」とともにとりくみ進めます。
 患者の救済など東京にきれいな空気を取り戻すため、「東京大気汚染公害裁判・勝利めざす実行委員会」と共にとりくみを進めます。

(7)憲法・教育基本法改悪阻止しイラクから自衛隊の撤退、核兵器廃絶、平和を守るとりくみ

 憲法改悪に反対し、大江健三郎氏、井上ひさし氏など著名人9氏が「9条の会」を結成し、アピールを発表しましたが、このアピール賛同署名のとりくみ、職場での「9条の会」の結成など職場に憲法の風を吹かせる草の根の運動を進めていきます。
 今年、被爆61周年をむかえ核兵器廃絶めざし、69行動の駅頭宣伝を1年間通しておこなっていきます。
 また、15回目を迎える千代田平和集会にとりくみます。

(8)千代田総行動のとりくみ

 春闘・秋闘によるたたかいの山場において3月と4月、そして11月に、要求を結集して千代田総行動を行います。
 
(9)組織強化のとりくみ

 国民春闘路線を発展させる立場から、未組織労働者や地域組織未加盟労組に対するする働きかけを強め、駅頭宣伝、労組訪問などをおこない組織化をすすめていきます。

(10)教宣・文化活動
  
 春闘要求、回答状況など知らせる春闘情報の発行や、それぞれの課題についての宣伝行動を行います。
 今年度も「千代田写真展」、「千代田スキーパーティ」、「第20回すずらんまつり」の成功をめざしとりくみを強めます。

(11)共闘の強化

 区内地域産別組織、民主団体との連携を強め共同行動を発展させるとともに、東京春闘共闘や国民春闘共闘とも連携し、それぞれの提起する共同行動にとりくみます。

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4. 春闘共闘の組織と運営

(1)組織方針
 区内すべての労働組合(産業別地域組織を含む)に加盟を呼びかけ、賛同を得た労働組合をもって
 「千代田区春闘共闘委員会」(略称:千代田春闘共闘)を構成します。
(2)結集を強めるオルグ活動
 区内の労働者と労働組合の多数が千代田春闘共闘への参加を実現できるようにするため、
 春闘前段の早い時期にオルグ活動を行います。

(3)組織の運営
@ 単組代表者会議 
  単組代表者会議を開催し、とりくみについて協議・決定していきます。
A 幹事会 
  執行機関として幹事会をおきます。幹事会は千代田区労協常任幹事会と千代田区労連幹事会、各産業別地域組織と千代田争議団の代表をもって構成します。
B ブロック組織
  4つのブロックごとにブロック春闘共闘を設け、その運営は千代田春闘共闘に準じます。
C 事務局
 千代田区労働組合協議会におきます。
 ◇千代田区神田神保町3-2サンライトビル7階 Tel:03-3264-2905 、Fax:03-3264-2906

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5. 春闘共闘の財政

   財政は千代田区労協の財政および春闘共闘に加盟の参加費を充当します。            
   参加費(1回限り)の徴収基準は次の通りです。
    50人未満  3,000円
    100人未満  4,000円
    200人未満  5,000円
    500人未満  6,000円
  1,000人未満  7,000円
  1,000人以上 10,000円
 地域産別組織は10,000円

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