2007年度運動方針(目次)

はじめに

T わたしたちをとりまく情勢

 1.内外情勢の特徴
(1)アメリカの世界戦略と日本
(2)国内情勢の特徴
(3)憲法をめぐる情勢

 2.都区政をめぐる情勢
(1)都政をめぐる情勢
(2)区政をめぐる情勢

U おもな職場をめぐる状況

◆国家公務員の職場
◆地方公務員の職場
◆大企業の職場
◆金融の職場
◆マスコミの職場
◆中小企業の職場
◆医療の職場
◆JRの職場と安全問題

V たたかいの課題


(1)賃金引き上げのたたかい
(2)全国一律最低賃金制のたたかい

(3)消費税をなくすたたかい

(4)「リストラ・合理化」に反対し、権利を確立するたたかい
(5)いのちと健康を守るたたかい
(6)憲法・教育基本法改悪阻止、平和と民主主義を守るたたかい
(7)文化・スポーツのとりくみ
(8)争議組合・争議団の勝利をかちとるたたかい

W たたかいのすすめ方

X たたかいの目標

(1)生活と権利を守り「合理化」に反対するたたかい
(2)平和と民主主義を守るたたかい
(3)組織を強化するたたかい

Y たたかいのかまえ

(1)組織の拡大
(2)組織の強化
(3)ブロック体制の強化
(4)専門部体制の強化
 ★組織部★
 ★教宣部★
 ★政治共闘部★
 ★争議対策部★
 ★文化部★
(5)共闘と連帯



はじめに


 「ワーキングプア」(working poor)という言葉をご存知でしょうか。さきごろ、NHKスペシャル「ワーキングプア〜働いても働いても豊かになれない〜」が放送されました。ワーキングプア(「働く貧困層」)とは、働いても生活保護水準以下の生活しかできない人たちのことをいい、その数は全世帯の10分の1の400万世帯とも、それ以上ともいわれています。この層が全国で急増しているのです。戦後日本は額に汗してまじめに働けば報われるはずの社会でしたが、競争に敗れその結果貧しくなった人たちを個人の責任だから仕方がないと切り捨てられているのです。

 都会の若者は20代であればアルバイトが比較的あるが、30代になると仕事は減って、収入がなくなり近くに頼れる親がいないと、路上生活を余儀なくされます。働いても賃金はあがらず技能も身につかない短期の職場を転々とします。どんなに頑張っても豊かになれない、明日に何の希望も持てない生活をおくっている若者が急増しているのです。そんなワーキングプアが大量に生まれている背景には、雇用をめぐる環境の変化があります。この10年間、日本の多くの企業が人件費を削るために正規雇用をおさえてきたことによります。いまや、非正規雇用は労働者の3人に1人、1600万人を超えるといわれています。

 農村でも米を販売する規制が緩和され競争が激化、価格が下落して農家がたちゆかない、集落ごとなくなっていく。地域全体が地盤沈下し多くの人たちがワーキングプアとなり、これが全国各地に広がっているといいます。政府統計でも秋田県で廃業した農家は6000軒にもなるとしています。ワーキングプアになるとぬけだすことが難しくなり、次の世代に引き継がれていくことになります。これは日本の未来をゆるがしかねない重大な問題です。生まれた環境のせいで将来を担う子どもの就職や進学の機会が奪われていく。市場にまかせ何もしない政府、社会保障を削り、企業が責任を果たさない、そういう状況がワーキングプアを生んでいるのです。ワーキングプアの出現で労働力の再生産が途切れてしまう、優れた労働力を持ち得ない社会になる懸念が非常に強い、と指摘されています。格差と貧困の広がりは深刻です。小泉内閣の5年間は、賃金・労働条件の破壊と社会保障予算の削減による国民生活の破壊でした。このことを端的にあらわした番組でした。

 郵政民営化をキャッチフレーズに総選挙に「圧勝」した小泉内閣は、国会内で何でも出来る圧倒的力関係を持ちました。
 財界はこの間に憲法改悪を含めてあらゆる悪法を通すと宣言しました。国民のたたかいは、ここからスタートしました。
 九条の会は全国で5000以上に広がり、憲法を守れの草の根からの運動が起きています。
 財界は2006年で憲法を改定の予定でしたが、国会内外でのたたかいの広がりがそれを押し止めているのが現状ではないでしょうか。
 私たちがここで、改憲勢力の狙いを打破し日本国憲法を守れば、世界の平和に大きく貢献出来ます。
 2007年を“平和勢力が勝利していく年となった”といわれるようなたたかいをしていきたいと思います。
 私たちは、首都東京の中心に位置するローカルセンターとして、千代田に働く仲間のさまざまな要求実現とともに、
 憲法・教育基本法をはじめとした平和と民主主義の課題、その他労働者・国民全体の要求課題で運動を展開していきたいと思います。
 方針はこのような立場から提起されます。

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 T わたしたちをとりまく情勢

 1.内外情勢の特徴
(1)アメリカの世界戦略と日本
 6月29日に行われた「日米首脳会談」は、これまでの異常なまでのアメリカいいなり政治を“集大成”した形であらわれました。
 日米首脳間では、「新世紀の日米同盟」と題する「共同文書」がかわされ、「世界の中の日米同盟」を確認するとともに、「21世紀の地球的規模での協力のための新しい日米同盟」が宣言されました。これは、1996年の「日米共同宣言」で、「極東」から「アジア太平洋」に対象が拡大された日米の海外での軍事的共同態勢を、文字どおり「世界」へと拡大するものにほかなりません。日米が、世界における共通の戦略目標をもち、米軍と自衛隊の軍事一体化をはかり、基地体制の抜本的強化をはかる、これが「新世紀の日米同盟」の名で進められている内容です。

 第2期ブッシュ政権の2年目にあたる2006年の冒頭から、米国政府の外交軍事戦略について、重要声明・重要文書が相次いで公表されました。1月の大統領一般教書演説、2月の国防総省「4年ごとの国防計画見直し」、3月の「2006年国家安全保障戦略」などです。ここでは、二つのことが強調されています。一つは、米国は「長い戦争」を戦っている、その最中にあるという「世界認識」です。もう一つは、「同盟国の協力なしには、この戦争に勝てない」ということです。

 アメリカは、イラクに不当な侵略を行い、深刻な打撃を受けています。いつ果てるとも知れない戦争の泥沼化に苦しんでおり、そのもとで「敵を迅速に打ち負かす」という従来の言葉にかわって「長い戦争」という言葉が使われはじめました。「長い戦争」を戦い、勝利するには、米国一国の力では足りない。この戦争を文字どおり一体になって戦う同盟国が必要だ。こういう世界戦略のなかで、「世界の中の日米同盟」が宣言されたことは、日本と世界の前途にとってきわめて重大な危険をもたらすものです。そもそも憲法9条という「恒久平和主義」の憲法をもつ国が、「長い戦争」、いわば「恒久戦争」を宣言する米国とともに、戦争への道にのめりこむ、こんなことは決して許されません。

 世界的には、泥沼に嵌り込んでイラクから撤退できないでいるアメリカ、紛争の長期化が懸念されイスラエルの占領が長引いているレバノン、また、不当なミサイル発射を行った北朝鮮、自立を求め地域紛争が激化しているラテンアメリカや中東・アジアなど、紛争の火種と戦争は拡大しています。景気低迷が明らかになりつつあるアメリカは、その打開を狙って各地で締め付けや介入を企て、いつ戦争が起っても不思議ではない状態が続いています。私たちは無法な戦争をさせない、巻き込まれない、アメリカと一体となった戦争には加わらないよう、運動を進めていかなければなりません。

(2)国内情勢の特徴
 5年間続いた小泉内閣では、格差社会と貧困の広がりが大きな社会問題となりました。
 野党だけでなく与党も、この問題への言及を避けられなくなっています。
 小泉首相は、「格差は悪いことではない」と開きなおりつつ、「これは改革の途上に生まれた問題であって、景気が回復していけば、いずれ格差問題は解決する」と言っています。
 しかし、今起こっていることは、一方で、財界・大企業が三期連続で史上最高の利益をあげ、バブルの時期を上回る空前の富を得ながら、他方、国民の大多数の中では所得が減少し、格差と貧困が深刻な形で広がるという事態です。その根底には、「構造改革」の名の下で行われてきた新自由主義があります。
 利潤追求のため企業は、労働者を正規雇用から派遣職員や委託業者に、請け負った業務は孫請けに丸投げをするという、儲かれば何でもありの状態で、モラルもありません。また、残された職員は成果主義賃金制度や未成熟な評価制度で、6割を超える企業が「心の病」を抱える社員が増えていると報道されています。この調査を実施した社会経済生産性本部は、「心の病を減らして行くには、成果主義や目標管理制度の導入で薄れがちな職場の横の繋がりを取り戻し、責任を1人に負わせない環境作りが必要だ」とも指摘しています。
 このような状況下においても政府は、日本経団連と米国の圧力から、労働者を自由に解雇したり、賃金引き下げにつなげる労働法制の改悪を2007年の通常国会に提出しようとしています。労働契約法を新設し、時間外労働規定の見直しを中心とした労働基準法の改悪が主な内容です。管理職と同じように時間外労働の規定に縛られない自由な働き方をホワイトカラーにも広げる(ホワイトカラーエグゼンプション)、解雇における金銭解決制度の導入など、いろいろ理屈付けをされたとしても、すべて会社側の都合に合わせた大改悪の内容となっています。私たちは、格差社会の根源をなしている労働と雇用の破壊に立ち向かい、人間らしい労働のルールをつくるために、職場を基礎に、国民的連帯を強め、闘いを前進させなければなりません。
 第二は、社会保障改悪に反対し、拡充を求める闘いです。格差と貧困の広がりの中で、国民の生存権を保障する社会保障制度の役割が、あらためて問われています。ところが、「構造改革」路線の下で、国民の暮らしの支えになるべき社会保障が、逆に、国民の暮らしに襲いかかるという事態が起こっています。とくに、わが国の社会保障制度に、二つの反動的変質が起こっていることは見過ごせません。
 一つは、低所得者、社会的弱者が、社会保障制度から排除されるという事態が生まれていることです。国保料の滞納に伴う保険証取り上げと資格証明書への置き換え、高い年金保険料を払えず制度から除外されつつある人が1000万人にものぼる事態、餓死者まで出した過酷な生活保護の抑制、障害者福祉でも介護保険でも施設からの冷酷な追い出しがすすめられていることは許せません。
 二つには、「官から民へ」の掛け声で、国の公的責任を放棄する流れが、この分野にも押し付けられていることです。医療改悪法に盛り込まれた「混合診療」が本格的に導入されたなら、公的医療保険だけでは必要な医療が保障されず、民間保険に頼らざるをえなくなります。国民の命と健康にかかわる分野まで、日米の医療保険会社・医療大企業がハゲタカのように食い物にしようとしている、このような医療制度改悪に反対する闘いを、地域から作り上げていかなければなりません。
 第三は、「逆立ち税制」を改めることです。格差が拡大したら、所得の再分配によってそれを是正するのが税制の役割です。ところが、「庶民には大増税、大企業には減税」という逆立ちした税制によって、格差に追い打ちをかける事態が引き起こされています。
 高齢者の中で、急激な増税・負担増への悲鳴、怒りと怨嗟の声が沸騰しています。老年者控除の廃止、公的年金控除の縮小、定率減税の縮小などが、一斉に襲いかかり、税負担が数倍から十数倍となり、それに連動して介護保険料や国民健康保険料などが「雪だるま」式に膨れ上がるという事態が起こっています。これは高齢者が耐えられる限度をはるかに超えた、まさに生存権を脅かす負担増です。実施されている高齢者への大増税と負担増をただちに中止し、その見直しをはかることを求めます。また今後、実施予定の負担増計画の凍結、見直しを求めていきます。
 小泉内閣で最後の仕事となった「骨太の方針」は、「歳出入の改革」と称して、16.5兆円の「歳出入ギャップ」を、最大限の社会保障や国民サービスの切り捨てによって埋め、足りない部分を消費税など庶民増税でまかなうという方針が盛り込まれました。首相は、「歳出をどんどん切り詰めていけば、『やめて欲しい』という声が出てくる。増税してもいいから必要な施策をやってくれ、という状況になるまで、歳出を徹底的にカットしなければならない」と述べ、国民生活を兵糧攻めで締め上げたあげく消費税増税を行うと言っています。
 「逆立ち税制」をただし、空前のもうけをあげている大企業と高額所得者に応分の負担を求めましょう。
 格差社会の広がりと表裏一体で噴き出してきたライブドア事件や村上ファンド事件は、「新自由主義」路線がもたらす腐朽性を象徴するものでした。規制緩和万能路線が、マネーゲームを煽り、「株転がし」「会社転がし」で巨額の利益を得ようという、いびつな「マネー資本主義」「カジノ資本主義」を広げてしまいました。国民から吸い上げた金を、経済のまともな発展ではなく、投機に注ぎ込む。これを見て英エコノミスト誌は、日本の資本主義は「驚くばかりに規制がない」と指摘しましたが、モラルもルールもない資本主義への堕落は、目を覆うばかりです。
 この問題で許せないのは、「新自由主義」の経済政策を推進してきた当事者が、このマネーゲームに深く関与し、そこから莫大な利益を得てきたことです。小泉内閣の「規制改革・民間開放推進会議」の議長であり、10年間にわたって規制緩和万能論の旗振りを続けてきたオリックスの宮内会長は、村上ファンドを実質的に創設し、そこから巨額の利益を得ていました。日銀総裁として、ゼロ金利政策、量的緩和政策を続け、庶民から巨額の利子所得を奪いながら、マネーゲーム経済の金融的基盤をつくりだし、村上ファンドの広告塔となってきた福井氏もまた、ぬれ手で粟の利益を得ていました。「経済財政諮問会議」の「民間議員」として、「新自由主義」経済路線の陣頭指揮を取ってきたウシオ電機の牛尾会長も、村上ファンドに巨額の投資をしていました。自ら規制緩和の仕掛けをつくり、その仕掛けの中で、私腹を肥やす。首相は、「族議員をなくした」と言いますが、この小泉政治がつくりだしたものは、最悪の財界直結の利権政治でした。 この間、状況の大きな様変わりも起こって来ています。かつては「官から民」「小さな政府」論が横行し、歯向かうものは抵抗勢力というレッテルが張られましたが、この間の、耐震強度偽装事件、ライブドア、村上ファンドと立て続けに暴露されたことで、国民の怒りは大きく広がって来ています。
(3)憲法をめぐる情勢
 @昨年9月の総選挙において、与党が国会で改憲発議に必要な2/3の議席をはるかに超える勢力となりました。これまで、執拗に繰り返されてきた改憲の動きに拍車がかかっています。とりわけ、昨年11月、自民党が結党50周年にあわせて「新憲法草案」を発表し、これに対して民主党も「憲法提言」を示すなど、昨年末から改憲論議を作り出す動きが加速しています。
   自民党「新憲法草案」では、憲法がこれまで基本的人権の尊重など、国民の自由と権利を守るための「政府への命令書」であったものを、国の認める範囲内での国民の自由と権利の保障へ変質させるものとなっています。さらに、憲法第9条第2項の「戦力不保持」と「交戦権の否認」を削除し、新たに自衛軍(戦力)を持ち、その国外での活動を明記するに至っています。これまでイラクへの自衛隊派遣など「憲法第9条第2項」が歯止めとなって海外での武力行使は出来ませんでしたが、これへの道を開こうとすることが、「草案」の最大の狙いとなっています。その意味では、民主党案も同様の考え方が盛り込まれており、改憲の動きはこの国を「戦争する国」、「アメリカと一体で、世界のどこでも武力行使ができる国」を目指すものと言えます。
 Aこのような状況で迎えた第164通常国会は、会期末を間近に控えた5月26日、与党は憲法改定の手続きとして整備が必要だとして、「国民投票法案」を国会に提出しました。出された法案は、改憲をより確実に可能とするための「仕組み」が組み込まれています。「憲法9条改正」が改憲の最大の狙いであり、アメリカとの関係からもその実現を急ぎたいと考えているからこそ、内容として「違憲性」を持った法案がこの時期に提出された訳です。
  こうした、「戦争する国」づくりのための改憲策動にあわせるかのように、内心の自由の侵害や教育への国家の不当な介入を可能にする「教育基本法改悪案」や、思想を罰することを目的とする憲法違反の「共謀罪」法案、「防衛省」昇格法案がその後提出され、継続審議となりました。また、3兆円規模の費用負担を約束したとも言われている「米軍基地再編強化」の動きも改憲をめぐる情勢として注視しておかなければなりません。
 B秋の臨時国会に継続審議とされた教育基本法改悪案、国民投票法案、共謀罪新設法案などの廃案を目指す取り組みは重要です。「二度とあの悲惨な戦争を繰り返してはならない、として日本国憲法はつくられました。この憲法のかげる理想の実現をめざして作られた教育基本法には、子ども一人ひとりを分け隔てなく人間として大切に育てる教育の方針が記載されています。この憲法と同じく戦後政治の礎となってきた教育基本法を守り発展させる運動を強めていくことが重要です。
 C靖国参拝問題については、個人の内心の問題だからいいのではないか?合祀されているからダメだ、などいろいろと論じられています。しかし、参拝するということは、境内にある「遊就館」に象徴されているような、あの戦争は正しかった、という戦争史観を肯定するものです。戦争で犠牲になった方をお参りするのだからという単純な議論に陥らず、有事法制の制定、PKO活動としての海外派兵、日の丸、君が代に対する教職員への処分、教育現場における愛国心の強要、継続審議となった国民投票法案や教育基本法改悪案など、一連の動きの中でとらえることが重要です。
  そういう点では、秋の臨時国会は新内閣の信任を問うに止まらず、戦後政治の総括が求められる国会になると思われます。
 D33年ぶりに国家公務員法違反で起訴された「堀越裁判」は6月29日敗訴しました。国民的には何故休日にビラ配布をしてはいけないのか?国民一人ひとりに認められている権利がなぜ公務員には認められていないのか?など、あらためて考えさせられる不当弾圧事件でした。判決内容も罰金10万円、執行猶予2年と言うものです。執行猶予期間中に新たな事件を起こさなければ、罰金も支払わなくて済むという不可解さです。公務員といえども思想信条の自由、表現の自由、労働基本権は存在しています。このことに確信を持って運動を進めていかなければなりません。堀越さんは判決後、直ちに控訴しました。

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2.都区政をめぐる情勢

(1)都政をめぐる情勢

 石原都政の6年間は、財政がきびしいといって切実な都民施策に大ナタを振って削り取り、反面、大企業優先の都市再生事業に予算を注ぎ込んできました。2006年度の予算は、12兆4322億円で前年対比1077億円減です。しかし、景気回復の影響で都税収入は大幅に伸び前年対比2520億円増加しています。この増加分を高齢者介護や子供の医療費助成など都民生活に密接な施策に振り分けることが可能です。  石原都政は、財政再建推進プラン、都庁アクションプランにより、生活弱者によりきびしく、さらに職員の大幅な削減等強行してきました。一方、2016年のオリンピックを東京に招致するオリンピック招致構想に基づく都市再生事業、三環状道路・首都高速等主要道路建設、東京港の新たな機能強化、羽田空港の再拡張・東京駅や品川駅周辺の再開発やIT産業など育成の産業支援等に重点的に計上しています。  石原知事は、都議会でオリンピック開催は既設の施設を活用することを基本とするので、おおむね運営費3000億円、施設関連費5000億円かかると公表しました。しかし、選手村予定地やメディヤセンター予定地は別会計になっているので実際には軽く1兆円を超えることが予想されています。  都民生活に密接な「教育と文化」・「生活環境」・「労働と経済」の分野にはあいかわらず低く抑えられています。しかも、福祉関連では老人医療費助成の事実上の終了、さらに保育所等への都加算補助廃止を主張しています。また中小企業対策費は11年連続で削減されるなど都民の切実な要求に背を向け、財界、大手ゼネコン等大企業優先の施策が予算に反映しています。  石原都知事の個人的な「思いつき」から始まった新東京オリンピックを起爆剤として、都市再生と称した大規模開発(まち破壊)を、さらに推進しようとする東京都のこうした姿勢を改めさせる取り組みが今大変重要です。  一方、教育基本法の改悪の動きと相まって、いま学校教育現場の民主主義が危機的な状況となっています。教職員会議における学校長の権限の絶対化や日の丸・君が代の押しつけなど、都教育委員会は教師や生徒の自由や思想、信条をまったく無視した教育行政をおこなっています。また、日の丸の掲揚や君が代斎唱に反対する人への処分をおこない、被処分者に対し、都教委は「服務事故再発防止研修」と称して反省を迫っています。こうした教育行政は首長である石原都政の右翼的性格の発露といえます。  こうした石原都政の姿勢を改めさせるためにも、来年の統一地方選挙における民主勢力の勝利は重要不可欠なことです。
(2)区政をめぐる情勢  二期目の石川区政は「改定行革大綱」に基づき福祉破壊を積極的に実行しています。  学校、保育園給食の民間委託の完成、さらに本来基礎的自治体の役割である保育園、児童館、学童クラブ等の運営を民営化や民間委譲を進めて経営を営利企業に肩代わりさせようとしています。  これは小泉構造改革路線の地方版であり、改革の名のもとで戦後築き上げてきた区民福祉を根底から崩すものといえます。  その底流にあるものは際限のない区政の安上がり経営であり区民や児童の人権を無視した区政と言わざるを得ません。  埼玉県ふじみ野市の市営プールでおきた痛ましい事故は、プールの管理業務を民間委託され、さらに委託先企業から丸投げ再委託されていました。実際に従事していたのは責任のないアルバイト要員であり利用者の安全は最初から考慮されず行き過ぎた経費節減の結果おきた事故といえます。  千代田区は、平成17年度から平成21年度までの主な事業の5カ年計画である「千代田区第三次長期総合計画・改定推進プログラム」に基づき、児童館、学童クラブの民営化を進めさらに保育園の民営化も検討されています。こうした民営化は、憲法や地方自治法によって規定された自治体本来の役割に反するのです。  いま千代田区政の「構造改革」路線に反対し、区政の民主化の取り組みが最も重要です。  一方大手ゼネコンの経済活動を支援するため、「都市再生」政策を積極的に受け入れ、都市計画を大幅に変更して経団連を中心とした財界の要求を受け入れた大手町地区の再開発計画の推進や丸の内地区のマンハッタン計画推進等に、人も予算も積極的につぎ込んでいます。このように千代田区のまちづくり行政は、三菱地所を初めとした大手ディベロッパーのパートナーとしてまち破壊の役割を積極的に果たしているといえます。  現在、神田地域を分断する東北縦貫線事業の新たな建設計画が大きな問題になっています。この計画は、東北線、高崎線、常磐線と東海道線の直通運転を実現させようとするJR東日本の計画です。高さ24m、延長600mにわたって壁が神田地域を分断するものです。この計画は、東京都心への一極集中をこれまで以上に進めるものであり神田地域の景観や環境を大き損なうものといわざるを得ません。  これまでも、丸の内や東京駅の再開発問題で東京都やJRに対して要請行動をとり組んできましたが、千代田区でともに働く私たちは、この問題でも千代田区のローカルセンターとして地域住民と共同した取り組みが求められています。

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 U おもな職場をめぐる状況

国家公務員の職場
 1.戦後50数年続いてきた「公務員の給与制度」は、2006年4月から「給与構造見直し」と称して、全体の給与を平均5%以上引き下げると同時に、1号俸を4分割し間差額を小さくして、そこに評価制度が未確立であるにもかかわらず査定昇給を導入するという、分断と競争を煽る給与制度に変更しました。これは、本省と地域間に格差を設ける、同一職場においても同期で差を設けるなど、大きな問題を抱えた大改悪となりました。
 2.2006年7月からは何十年にも渡って運用されてきた、勤務時間内における「休息時間」が廃止されました。休息時間は効率よく業務が行えるように設けられた正規の時間帯です。それにもかかわらず国民の目という、曖昧で明確な理由もなしに一方的に廃止を押しつけられ、省庁によっては拘束時間が実質45分も延びるということになってしまいました。少子高齢化が叫ばれている折り、育児や介護を行っている者への配慮は当然必要です。今後、民間の実態にあわせて、一日の労働時間を短縮していく運動が求められています。
 3.政府は「2006骨太方針」から、5年間で国家公務員の定員を5%純減するという目標をかかげ各省庁に実施計画を作成するよう求めています。現在、どこの省庁においても要員不足から、大量の派遣職員や非常勤職員の採用、業務の外注委託を進めています。このうえ、さらなる純減を行うならば、超過密労働に輪を掛けての労働を強いることにもなります。充実した行政サービスを行うためにも、慢性的な残業と不払いをなくす取り組みを強化していかなければなりません。
 4.今年度の人事院勧告は、人事院内に設けられた「研究会報告」に基づいて「官民給与比較方法の見直し」を行ったように位置づけられておりますが、調査対象を事業所規模「100人以上」の従業員から「50人以上」に引き下げられました。この官民給与実態調査は、1964年、当時の池田首相と総評議長だった太田薫氏との協議で決められたものです。それから40年以上にわたって続けられてきた比較方法を組合と十分な意見交換もなしに、一方的に変更したことは断じて認められません。これまでの「100人以上」の調査結果をもとに勧告した場合、月例給で1.12%、一時金で0.05月の改善が行われるところでした。それを「50人以上」の事業所規模に引き下げた結果、ベアゼロの勧告となったものです。翌日(8/9付け)の一般紙の報道では、これでも足りない、なお一層の人件費削減が可能であるし、やらなければならないと強調されています。
 5.国民には等しく認められている民主的権利についても、6月29日に不当な地裁判決がありました。休日に自宅近くの集合住宅に政党のビラ配布をしていた社会保険庁職員が不当にも「国家公務員法」に違反しているとして逮捕・起訴された「堀越裁判」です。公務員における「労働基本権」については行革推進本部内に「専門調査会」が設けられて議論が行われ始めました。労働組合側委員の選出については異論等もありましたが、今後、注意深く議論を見守っていきたいと思います。

地方公務員の職場
 今年の人事院や特別区人事委員会は、政府の圧力に屈し、公務員の賃金水準を低く抑えるために、比較する企業の規模を小さくして、勧告作業を実施しました。このことが、勧告に反映されると、職員の基本賃金は、東京で数パーセント切り下げられることになり、民間企業の賃金実績が回復しているにもかかわらず、公務員だけが、引き続き、マイナス賃金の状況が続くことになります。
 これは、公務員から労働基本権を奪ってつくった勧告制度の民間準拠の考え方を根底か覆すもので、さらなる憲法に基づく公務員の権利をないがしろにするものとなっています。
 少子化を打開しようと国をあげて次世代育成支援が叫ばれています。千代田区も区内民間企業に対し、次世代育成支援を求めています。
 しかし、肝心な職場での取り組みは、真剣に次世代育成支援をする気がなく、職員が安心して子育てをできる環境になっていないのが実状です。その例として、区職労が、次世代育成支援のための休暇改善要求を出しても答えない、また、育児休業のための代替措置を相変わらず、不安定雇用労働者で対応し、育児休業のための任期付き職員を金がかかるという理由で採用していません。
 こんなことでは、少子化問題は解決できないことは明らかであり、民間の模範となる制度を示すことが重要となっています。国をあげての公務員攻撃のなかで、組合の勤務時間内の活動を交渉のみに制限しようとする動きが強まっています。庁舎内での組合機関紙配布の制限や組合活動に対する区施設の使用制限等、組合活動そのものを職場から締め出そうとしています。
 公務員組合の弱体化は、労働運動の発展にとってもマイナスとなります。労働界全体でカバーすることが重要となっています。
 千代田区は、職員1000人体制をめざしています。他自治体と比べ、人口に対する職員数比率が多いというのが理由です。また、住民に職員を減らすといえば一般的に受けが良いことも反映しています。ところが、職員を減らされている現場は大変です。とくにマンパワーが必要な保育園、児童館、福祉職場では、非常勤職員など不安定雇用労働者が増え、職場の運営に不安を感じるとともに「いつ子どもの事故が起りはしないか」と心配しています。
 職場において適正な職員数を下回ることや民間に公共性のある事業が移ることになれば、住民へのサービス低下は必至です。また、職員数が減らされることにより、残された職員に過重労働がのしかかり、その結果、近年メンタルな病気にかかる職員が非常に多くなっています。
 建築確認行政の民間委託で耐震偽装などの大問題が起こりましたが、公共性のある仕事は公務員が行い、責任を負うことが大事となっていることが明らかとなっています。そして、その仕事を保障するための人員を確保することが、住民サービスを確保する上で非常に大事であり、その職員の権利も確保することといえます。

大企業の職場
 大企業の製造現場で、請負労働者を派遣労働者のように働かせる「偽装請負」の実態が相次いで明らかになりました。人件費削減を優先させ、下請・孫請業者にしわ寄せを強いながら都合よく利用している構造です。派遣法の対象拡大により、大企業の製造現場では派遣労働者や請負労働者が混在することとなり、低賃金・労働条件での就労が当然とされているだけでなく、労働者への指示命令・責任関係が不明確ななか、労災や現場での事故・災害等の危険性が高まっています。また大企業における不払い残業などの不法行為は表面化したものだけでも、相当な数にのぼります。
 このように、大企業においては「総額人件費管理」が徹底され、人員削減・雇用形態の多様化とあわせて成果主義の強化が進められています。労働者は自らの賃上げのために個人業績を追求することを強いられ、チームワークや職場の連帯感は喪失させられ、その結果、さらなる労働強化に繋がっています。また、残業代の削減を主目的とする裁量労働制などの仕組みは、個人に裁量権のない日本企業においては、長時間過密労働を強めるだけのものとなっています。同時に、成果主義の強化は、部下だけではなく中間管理職へのプレッシャーを強め、職場でのいじめやパワハラなどに繋がっています。
 このように職場が荒廃するなか、労働者の精神障害や過労死・過労自殺は増加を続けています。上場企業を対象にした調査では6割の企業が「3年間で心の病」が増加したとし、75%の企業が「心の病」による1カ月以上の休業者が存在すると答えています。
 以上のような利益優先、企業の社会的責任を顧みない経営のあり方は、後を絶たない企業不祥事・企業犯罪を生んでいます。そしてこれらの動きは、「ものを言う労働者」に対する人権侵害・差別と表裏一体で進められているのです。
 これに対して、大企業を相手にたたかう労働組合が新日鐵や凸版印刷などで勝利をかちとり、スズキ、明治乳業、住友軽金属、東芝、昭和シェルなどで不当差別や人権侵害を止めさせるたたかいが続けられるとともに、多くの職場で民主化をめざしたたかいが進められています。

金融の職場
 金融業界は「構造改革」の中心として位置づけられ、グローバル化の名の下で「投機」を競うため、買収・合併による多角化・巨大化(コングロマリット化)が推し進められています。メガバンクは収益拡大のみを追求し、外国資本の急激な参入がこの動きに輪をかけています。その結果、金融の社会的責任はまったく顧みられず、利益優先の流れだけが加速化してきました。
 同時に金融業界における不祥事は後を絶たず、最近だけでも、
2005年10月 明治安田生命に一部業務停止命令(保険金不払い)
2005年11月 損保26社に業務改善命令(保険金不払い)
2006年4月 アイフルに一部業務停止命令(違法取り立てなど)
      三井住友銀行に一部業務停止命令(優越的地位の乱用)
      損保ジャパンに一部業務停止命令(保険金不払い)
  6月 三井住友海上火災保険に一部業務停止命令(保険金不払い)
 など、消費者不在の経営のあり方が相次いで断罪されています。
 このような、利益のためにはまさに「何でもあり」という経営の姿勢は、職場の労働条件にも具体化されつつあります。「他社対抗」「他社追随」を優先する商品乱開発・乱売競争などによって、従来から労働強化を強いられてきた職場の実態はさらに悪化し、顧客一人ひとりに十分な対応ができない、仕事に誇りを持てないという声が強まっています。にもかかわらず、ノルマ至上の「成果主義」は強化され、さらなる要員削減、長時間過密労働と不払い残業、人件費削減のための派遣社員等への代替、賃金と業績との連動強化、中高齢社員の労働条件切り下げなど、労働者に対するしわ寄せが職場の矛盾を拡大し、次なる不祥事に繋がるという悪循環に陥っているといえます。
 このような状況を打破すべく、多くの労働組合が職場に立脚した取り組みを続けるとともに、さまざまな争議を闘っています。最近では、2005年11月に第三銀行の賃金差別に対して勝利和解が成立しました。AIGスター生命では、長年正社員と同様な仕事を続けてきた嘱託事務員のみを解雇、会社が都労委命令を受け入れず、中労委に再審査を請求したことに対して、労働組合による請求却下を求める運動が広がっています。東京海上日動火災保険会社では、外勤社員切り捨てに対して、希望者全員の雇用保証等を求めて、たたかいが始められています。

マスコミの職場

<新聞>
 新聞産業に働く労働者の状態と問題点を@別会社化合理化A賃金体系の変貌B雇用形態の重層化と労働組合組織化の面から概括する。
 全国紙(朝日、毎日、読売、日経)の印刷部門はほぼすべて、別会社化がすすみ、今後ブロック紙、県紙へと波及していくことが懸念されています。
 別会社化は印刷部門に始まり、新聞制作関係へ移り、関連企業の“グループ経営の強化”策と相まって編集、出版、メディアなどの部門も巻き込んで一層進む様相を見せています。すでに持ち株会社へ移行した読売(系)新聞に続き、日本経済新聞も出版と電子メディア事業を分社したうえで、事業持ち株体制に移行することを明らかにしました。07年1月をメドに新たなグループ経営体制を発足させる、持ち株会社化に先立ち、紙面制作部門などは「制作センター」に移管、約80人の労働者は出向にするとしています。新聞製作コストのさらなる削減と企業間競争力の強化を目指し、規模、人員ともにスリムで効率的な組織に再編することが狙いだとされています。
 毎日新聞でも新聞制作システムの更新を控え、新規組版機器の導入に伴う人減らしを警戒し、合理化を許さぬ取り組みを新聞制作関連職場を中心に議論と対策が進んでいます。
 新聞各社の賃金体系も1990年代後半から2000年にかけて、大きな変貌をとげています。人事考課制度を伴う「新人事・賃金」制度=目標管理・成果主義賃金制度のもとで働いている労働者は、朝日、読売3組合、日経、共同通信、時事通信、さらに北海道、西日本(福岡)、河北(仙台)の各新聞社などで制度導入がすすみ、全体では新聞労連組合員の過半数以上を占めています(新聞労連の06年4月調査から)。問題はこの人事制度が賃金抑制の大きなテコとして作用することです。同調査(回答数43単組、導入ずみ16単組)では、考課結果の本人開示はたった2社、最終的な考課結果のみの開示は4社で、ほとんどのところが情報不開示のまま制度運用が行われています。会社側は「高コスト体質の改善」を制度導入の理由にあげています。つまり、人件費を大幅に抑制すると宣言したに等しい。いくつかの組合では見直し、修正協議を進めているところも出ていますが、このまま放置すると一人ひとりの賃金レベルは「闇の中状況」となってしまう危険があります。
 別会社化の進行は雇用形態にも大きな変化をきたしています。印刷部門の別会社では転籍者・出向者に加え、新規採用者が異なる賃金体系のもとで働くことがめずらしくなくなっています。編集、出版、メディア部門では正規雇用労働者にかわり、アルバイト、派遣労働者の置き換えがほぼ例外なくすべての企業ですすみ、業務の主力をなしている部門も生まれています。
 これら非正規社員の雇用、労働条件問題は、正社員の労働条件問題と一体不可分の関係にあり、新聞労連は“非正規雇用者と正面から向き合おう”と呼びかけています。
 新聞産業とそこで働く労働者の状況は大きな変貌期に入っています。企業形態・雇用、賃金、労働時間など働く基本的な条件を企業の思惑のまま進めさせるのか、否か  労働者一人ひとりの働き方、働かせ方をめぐり、労働組合は常に対応が問われています。

<放送>
 今年後半に九州・沖縄などがデジタル放送を開始することにより、全国にデジタル放送がいきわたることとなります。一方、デジタル対応テレビは今年の4月まで出荷台数の累計が1千万台を突破しました。放送エリアの拡大、テレビの普及によりデジタル放送の環境は整いつつあると言えますが、依然として2011年のアナログ放送終了の問題は大きなものがあります。総務省が行った「地上デジタルテレビに関する浸透度調査」ではアナログ放送の停波については85%が知っているがその時期について正しく認識している人は未だに32%にとどまっています。
 また、2011年にもデジタル放送が視聴できないエリアが残ることも明らかになっており、これ等の対策や視聴者は無理なくテレビを購入できるか、生活保護所帯など社会的弱者をどうするかなど多くの課題が残されています。
 民放経営は他産業に先駆け業務委託、派遣労働者の導入によってアウトソーシングを進め、コスト削減を図っています。また、プロダクションや放送局関連企業でも「契約社員」や「契約者」の増加が起こっています。有期契約であるこうした労働者は契約更新の権限を会社がもっているため、労働者としての正当な権利も無いままに経営のいわれるままの状態に置かれています。
 なかでも実態として労働者であるのに、個人事業主として「業務請負契約」を結び、交通費も出ず、社会保険も適用されない「契約者」は深刻な問題です。
 日本テレビは6月「日テレグループ宣言」を発表。放送収入ナンバーワンなどの目標を掲げた「中期経営計画」を達成するためグループの再編を表明しました。再編は「製作技術会社」「番組制作会社」「イベント会社」「美術会社」と機能別にするとしていますが、これにより裁量労働や年俸制などの「働き方」の拡大、労働条件の変更、労使慣行の白紙化、労働協約の破棄などの可能性があり労働組合として慎重に対応する必要があります。

<出版>
 出版の総売り上げは04年に8年ぶりに対前年を上わったものの、05年は再びマイナスになり、06年の現在までその状態が続いています。とくに週刊誌をはじめとする雑誌の落ち込みは激しく、広告収入の減少にストレートにつながっています。
 書籍にしてもいわゆる"新書ブーム"の中、ミリオンセラー5点はすべて千円以下の低価格本であり、販売金額は前年より2.5%減少し、逆に返品率は2%増の38.7%になりました。書籍の新刊点数は年々増加の一途をたどっていますが、出版社の側ではリスク軽減のために重版を抑制する傾向があり、新刊中心の大型書店といえども書棚を充分に満たせない状況で、流通政策上、小規模店には"売れ筋本"はほとんど行き渡らず、小売り書店は深刻な経営難に直面しています。日本経済は「回復基調」にあるといわれていますが、出版産業においてその兆しは見えません。
 電子辞書の普及からはじまった出版のクロスメディア戦略により紙媒体以外の活字の映像化、DVD化等がいっそう進行し、職場での仕事の進め方を大きく変えています。編集者は正規、非正規社員を問わず、新規アイテムや新刊発行を支えるため「長時間、過密、過重労働」にさらされている一方、自らが"プロデューサー"として現場に出入りするフリーランスや下請けプロダクションなどの関係者に厳しいコスト削減を求める立場に追い込まれ、メンタルヘルス不全(心の健康、精神的健康が適切でない状態)の状況が常態化しています。
 このようななかでも、出版労働者は今春闘で誰でも「7千円以上の賃上げ」と「最低夏、冬3ヶ月の一時金」を産別指標としてたたかい、賃上げは対前年比プラス201円、一時金は同プラス0.3ヵ月の結果となり16年ぶりに前年を上回りましたが、企業間格差拡大の側面も見過ごせません。
 教育・教科書をめぐる分野では、与党は今国会に教育基本法改悪案を上程しました。いうまでもなく教育基本法は憲法と不可分の法律で、いわば「戦争をする国」の人つくりのために国家による教育支配を企むものとして絶対に容認できません。多くの国民の反対により同案は"継続審議"となりましたが、この秋、再び臨時国会で論議されることは必至であり今から廃案のための行動をすすめていく必要があります。
 また文部科学省は教育基本法改悪を前提に新学習指導要領の告示を発表していますが、実施されれば小中学校教科書の同時検定・同時採択が日程に上り、営業も含めた教科書、教材にたずさわる労働者の過密労働が予想されます。多様で内容豊かな教科書の発行と労働者の生活を守る運動をすすめるため、出版労働者のみならず広範な人たちの理解と協力が求められています。

<中小企業の職場>
 WTO体制のもと、規制緩和、産業再編の圧力は、あらゆる業種に波及しています。金融では数行のメガバンクをつくりだし、医薬品業界では国際的な再編(ハーモニーゼイション)の流れのなかで、数社の巨大企業をつくりだす方向です。自動車、家電の多国籍企業の生贄として繊維産業、農業が切り捨てられようとしています。
 日本経済は、02年1月を景気の谷として、それ以来、景気回復の過程にあると政府はさかんに喧伝しています。しかし、百貨店・スーパーの売り上げ統計でも、国民の消費購買力に力強さが戻ってきていません。信用調査によれば05年度の倒産総数の85%以上が「業績不振」などの不況型倒産であり、バブル期にみられた「放漫経営」による倒産とは隔世の感があります。年収200万円以下の貧困といえる低所得層が1000万人に達しました。小泉内閣は一部の勝ち組をつくり出し、株投機を煽り国民の資産を大資本の前に差し出しています。
 2000年に日本はOECD加盟国の比較で貧困率が第2位になったと報告されています。今回の景気回復はバブル経済の負債を、労働者・国民・中小業者に犠牲転嫁を完了したことを意味します。これは大企業を中心とした景気回復であり、中小企業は相変らず水面下であります。「21世紀は中小企業の時代」というのは米国でもEUでも常識になっています。EUでは「小企業憲章」をつくって、地域経済、雇用創出の源泉として中小企業の振興に取り組んでいます。日本はその逆をいっています。
 この10年間に正規雇用労働者は395万人減少し、非正規雇用労働者が593万人増加しまし。圧倒的に未組織の非正規労働者は極端な低賃金と無権利状態におかれています。一方、正規労働者にも、成果主義賃金体系を導入し賃金の切り下げが行われています。富士通を筆頭に、成果主義賃金体系を導入した企業の9割が失敗を認めていますがそれを改めようとはしていません。この成果主義賃金は総人件費の圧縮できる効果を持つため、中小企業でもさかんに導入をしていますが、その結果、労働者の帰属意識をなくし技術の継承さえままならない状況がでています。
 雇用延長問題は、これを利用して使い勝手の良い熟練労働力を安価に手に入れようとしています。企業の恣意的な人員選別、賃金が半分になるなど、労働条件の大幅ダウンなどが多くの企業で強行されています。
 日本の企業の9割を占める中小企業では圧倒的に未組織であります。この未組織の広大な分野を組織化することが、いま求められています。

<医療の職場>
 小泉政権の進めて来た「構造改革」は、医療・社会保障の大幅削減を進め国民生活の中で格差社会を拡大させました。
 2005年12月1日に「医療制度改革大綱」を出し、第164国会に医療保険制度改革法案を提出、強行されました。医療制度改悪が具体化されれば、窓口負担の増大や「混合診療」の拡大などで高齢者・重症患者へ大幅な負担増がのしかかります。在宅医療・介護体制が整わない中で療養病床が23万床減らされれば、地域の医療と介護に深刻な打撃を与えることとなり、地域医療の崩壊にもつながります。医師・看護師の慢性的不足ともあいまって、医療・介護の空白地域が生まれ、行き場のない「医療難民」「介護難民」があふれることになります。2005年10月1日から介護保険改悪実施によるホテルコストの導入で利用者の負担は増大し、施設運営も介護度の高い入所者でければ採算が取れない内容に変えられ、介護施設からの退所者も出ています。国の施設により退所を迫られ家庭に戻っても、老々介護となっている実態の中では、施設を退所したことに伴い自殺者も出るなど悲惨な現実も生まれています。
 4月からの診療報酬3.16%のマイナスは医療機関の運営を大きく圧迫しています。療養型の病院が展望を持てず廃院する中で、施設からの退所を余儀なくされた患者も出てきています。
 職場では、利用者・患者の立場に立った献身的な努力が続けられています。しかし、あいつぐ医療・介護・社会保障の改悪のもと、処遇や慢性的人手不足も解消されず多忙を極め、劣悪な状態が続いています。「医療事故と隣り合わせ」の状況の中、新卒看護師を中心に離職があとをたちません。介護の分野でも制度改悪のもとで、利用者の要求に応えたくても、制度上の制限から依頼を断たり、サービスの制限を余儀なくされるという矛盾した実態が生まれています。
 医労連を中心とする運動の中で、診療報酬3.16%のマイナスのもとでも、介護配置基準を18年ぶりに改善させました。このことを背景に、看護師増員の動きが強まっています。しかし、看護師不足の実態は変わっておらず、「看護師の争奪戦」「看護師不足で廃院」という事態を許さず、安全・安心で働き続けられる職場を目指し医師・看護師などの大幅増員の闘いを強めることが重要な改題となっています。
 小泉「構造改革」路線の中で国民の負担増が続き、国民・患者・利用者は、医療・介護などを受ける権利を奪われ、「いのちへの格差の持ち込み」が大きく広がっています。同時に医療・介護の崩壊を許さない闘いを地域の仲間と国民・患者・利用者とともにつくり上げていく運動が重要となっています。

<JRの職場と安全問題>
 昨年の4月25日福知山線、12月25日の羽越線脱線事故をふまえて、国労として約20にわたる要求を集約して、国交省に対して要請を行ってきました。
 その結果、通常国会の中で運輸の安全性向上に関する法律が、3月29日に成立しました。そのポイントは大きく分けて四つあります。
 一つ目は、鉄道事業者は、すべての安全の輸送に徹すること。二つ目は、鉄道事業者はすべて安全管理規程を設置しなさいというもの。三つ目は、鉄道事業法25条、外注化委託の関係ですが、これについて改善措置と委託を取り消すことを求めることができるということで、外注化施策に対して国交省として一定の規制を設けたということです。四つ目は、事故情報について、毎年度鉄道事業者は報告しなさい、国交省としても発表しますというものです。
 今、JR東日本の職場では、保線・電力などの施設部門が親会社(JR東日本)から切り離され、多くの子会社に委託されました。その結果、技術の継承がされず、JR東日本では、子会社に新入社員が見習いに行かされるという事態が生じています。また、より採算性を追求される子会社においては、当然労働者も低賃金・劣悪な労働条件での就労を余儀なくされるばかりか、必要最低限の備品で保守メンテナンスを行うわけですから、緊急の場合部品が足らなくなります。寝台車の北斗星などの特殊車輌などは、不具合が発生しても同様な部品がすぐに入手できないため、とりあえず稼動していない車輌の部品からの流用で運用しているのが実態です。
 今日、JR東日本は、営業関係(駅等)にも派遣社員・業務委託化を組合に対して提案してきました。派遣社員になれば当然、業務履歴が浅く、社員の入れ替えが頻繁になり、教育や経験値が少なくなります。それは、利用者の求めている業務知識に十分に答える事が難しくなります。
 JRデパートの駅中施策により、JR東日本の駅内での販売が、大幅に伸び、今では大手スーパーの「イオン」をもしのぐ売り上げを計上しています。エキュート大宮では、87億円を超え当初の目標額を58%超えました。このJR一人勝の商売戦略により、地域の商店街から苦情の声が大きくなってきています。
 JR東日本というきわめて公共性の強い企業が、その安全・サービスの確保を最重要のものとすることは、社会的にも明らかであり、採算性重視のその会社の姿勢は鋭く問われるところです。

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 V たたかいの課題

(1)賃金引き上げのたたかい

 大幅賃上げ、一時金のたたかいは「賃金要求相互支持共同追求運動」の方針を掲げましたが、取り組むことはできませんでした。ビクトリーマップ宣伝では、東京国公とともに霞ヶ関と大手町において行いました。
 公務員賃金の切り下げ、査定昇制度導入に反対する人事院要請を民間単産と東京国公、霞国公と共同して行いました。
 2007年度の方針としては、各ブロックにおいて「賃金要求相互支持共同追求運動」に取り組みます。また、賃金引き上げのたたかいと最賃のたたかいを結合して取り組みます。賃金交流は各ブロックですすめ、学習会、宣伝にも全体で取り組みます。
(2)全国一律最低賃金制のたたかい

 中央最低賃金審議会は7月26日、06年度の地域別最低賃金について、都道府県ごとの経済情勢に応じた2〜4円の引き上げを厚生労働省大臣に答申しました。引き上げ額はA・Bランク4円、Cランク3円、Dランク2円で引き上げ答申は2年連続の行われました。また、東京都は8月2日の専門委員会で5円の引き上げを要請しました(714円から719円)。
 中央春闘共闘、東京春闘共闘は「ナショナルミニマムの基軸としての全国全産業一律最低賃金制を確立する」ことの重要性を強調していますが、東京春闘共闘が行った「ナショナルミニマムシンポジウム」に千代田区労協も参加し、また、厚生労働省前での集会などのとりくみに参加をしてきました。
 今後も、全国全産業一律最低賃金制の法制化を求めて、3つの共同と「最賃5原則」を守りながら取り組みを強化していきます。
〈3つの共同〉
@地域・単産組織や全国的なたたかいの共同を強めます。
A自治体、業界団体への要請を強め、地域最賃の引き上げる運動を強めます。
B厚生労働省をはじめ、東京基準局、労基署、千代田区に対して要請を行います。
〈最賃5原則〉
@最低賃金は「生計費をもとに決定」すること。
A決定にあたっては「労使対等の原則」にたった労使同数の代表の交渉によること。
B最低賃金は全国全産業一律を基本とすること。
Cこの決定に違反する者に対しては懲役を含む厳罰をもって対処すること。
D決定された全国一律最低賃金額は、国の最低保障の基軸にすえ、生活保護等の社会保障や農産物単価、下請け単価の決定の際にも下支えの基準にすること。
             
(3)消費税をなくすたたかい

 配偶者特別控除の廃止、定率減税の縮小,公的年金等控除の縮小、老年者控除の廃止などによって住民税がすさまじい増額となって、役所の住民課に抗議が殺到しています。こうした国民の怒りをよそに、政府・財界、そしてマスコミも加わって消費税増税のキャンペーンが行われています。
 06年度は「消費税をなくす千代田の会」と千代田春闘共闘で昨年10月より毎月第3木曜日、御茶ノ水駅頭で宣伝行動を行っています(延べ52名参加、署名25筆、カンパ1000円)。11・18千代田総行動では財務省、3・13重税反対全国統一行動では麹町と神田税務署に対して要請行動に取り組みました。また、「消費税をなくす東京の会」及び「消費税廃止東京各界連絡会」の提起による東京新聞(4/1)への意見広告に取り組みました。
 07年度は、庶民大増税を許さないために、さらに国民と共同してたたかいを大きく広げるために「消費税をなくす千代田の会」の体制を強化し、宣伝・署名行動などに取り組みます。

(4)「リストラ・合理化」に反対し、権利を確立するたたかい

 「新自由主義」グローバル化の中で、小泉内閣の構造改革・規制緩和のもとで、労働、貧富の格差は拡大し、労働者・生活と権利・雇用は破壊されています。また、労働者流動化政策で非正規労働者は、労働者全体の3分の1(約1600万人)に達し、さらに「官から民へ」の掛け声のもと、人減らし・賃金抑制など公務員攻撃が強められています。
 さらに政府は,日本経団連とアメリカの圧力のもとで、カネで労働者を追い出す「解雇の金銭解決制度」、労働者の一方的不利益変更による「雇用継続型・契約変更制度」や「労使委員会制度」(過半数との合意、少数組合の否定)、労働時間がなくなる「ホワイトカラーエグゼンプション」など「解雇も労働条件引き下げも自由」の労働法制な大改悪を強行しようとしています。
 こうしたもとで人減らし「リストラ・合理化」に反対し、雇用の確保の問題は労働者の緊急の共同課題となっています。千代田区労協は「リストラ・合理化」の実態の交流活動を重視します。また、争議団・争議組合のたたかいを雇用・反合闘争の重要な課題として取り組みを強化していきます。労働法制の改悪に反対し、労働者の権利を守るため学習、宣伝行動など取り組みを強めていきます。また、資本や当局の職場の専制支配をめざす権利侵害も強まっていますが、各職場にあらわれた権利侵害に対し、職場・地域の共闘の力で取り組みを進めます。
 官公労働者のストライキ権回復などの制度課題についても学習、宣伝等の活動に取り組みます。

(5)いのちと健康を守るたたかい

@じん肺のたたかい
 じん肺闘争は、昨年最高裁で国・企業の責任が確定しましたが、原告の悲願である「謝れ、償え、なくせじん肺」の前に、日鉄鉱業は未だ謝罪、和解を拒否しています。
 現在、炭鉱はすべて閉山し、金属鉱山も多くは閉山したが、じん肺はトンネルを中心とした多くの粉塵職場で発生し続け、厚生労働省の統計では未だに毎年15,000名以上が罹患し、1,000名以上が重症化して死亡しています。北海道、九州を中心とすて原告の掘り起こしと新たな提訴が建交労を中心としたトンネルじん肺の取り組みが進められています。新たな提訴については国との和解が進行、トンネルじん肺については、7月7日に東京地裁で、13日に熊本地裁で国の責任を認め、賠償を命じる判決が出されました。
 じん肺被害者の早期救済とじん肺の根絶にむけ、引き続き「じん肺東京支援連」に参加し取り組みを進めます。
A東京大気汚染公害裁判闘争
 前年度に引き続き、千代田懇談会を継続的に開催するとともに、新たに中部ブロック懇談会(千代田、中央、文京、港、新宿)が行われ参加しました。10・28決起集会、原告を囲む中部ブロック交流会、4・28行動(トヨタ・都庁への要請、駅頭宣伝)、第31回全国公害被害者総行動に取り組みました。また、全都いっせい大気測定では12月に15ヶ所にカプセルを設置・回収しました(06年6月は出来ませんでした)。
 今期も「東京大気汚染公害裁判勝利をめざす実行委員会」とともに取り組みを進め、「東京大気汚染公害裁判闘争千代田懇談会」も継続的に開催し取り組みを行います。また、空気の汚染度を調査する全都いっせい大気測定(12月、6月)に取り組みます。
B薬害根絶めざすたたかい
 新たな薬害が生まれています。英国のアストラゼネカ社が世界規模で開発し、4年前に世界に先駆けて日本で承認された肺ガン治療薬「イレッサ」により、3年間の間に600人を越える副作用死が厚生労働省に報告され、一昨年に国と企業を相手に訴訟が起こされました。
 日本での承認後、延命効果がないことが明らかになり、欧州では申請取り下げ、米国では承認されたがその後、新規患者への使用が中止されました。しかし、日本では未だに使用が規制していません。また、日本では申請後6ヶ月という異例の早さで承認され、企業は承認前から「副作用が少ない」「夢のくすり」宣伝し、多くの患者に使用されて被害が広がり、国の承認審査、企業の情報隠しの責任が問われています。
 千代田区労協は「薬害イレッサ東京支援連絡会」に参加し取り組みを進めます。

(6)憲法改悪阻止・平和と民主主義を守るたたかい

 5年に及ぶ小泉政権は、国連決議に反するイラク戦争を支持し、イラク特別措置法や有事関連法案を次々と強行成立させてきました。その間、在日米軍基地の拡大、強化の計画には自治体の首長や住民から断じて容認できないとする声が大きく上がっています。アメリカの対日圧力の最終的に行き着くところは、ともに「戦争をする国」づくりとしての改憲要求にほかなりません。
 2005年秋に自民党は、結党50周年にあわせて「新憲法草案」を発表しました。最大のねらいは、「9条の第2項」を改変して自衛隊を何の規制もなく海外で活動させるということで平和憲法を根底から変えようとするものであり、区労協常任幹事会として直ちにこれに強く反対するアピールを出しました。民主党も前後して自衛軍保持の「憲法提言」を出しましたが、どちらも海外での武力行使に道を開こうとするものです。そして、先の通常国会では、教育の憲法といわれる「教育基本法の改正法案」が上程されました。道徳教育や愛国心を強制し国家の教育への介入を正当化しようとするもので断じて成立を許すわけには行かず、各地での反対集会に参加し、街頭宣伝行動の成果もあり継続審議にさせることができました。また、団体が犯罪の相談をしただけでも罪に問われる「共謀罪法案」、憲法改悪の手続き法となる「国民投票法案」も通常国会では継続審議となったものの2006年秋の臨時国会で成立を目論んでおり予断は許しません。
 私たちは、この1年も核兵器廃絶を訴える駅頭宣伝の69行動や、秋年末・春闘での千代田総行動でも憲法・教育基本法改悪阻止を大きなスローガンとして取り組みました。国会情勢に鑑み6月9日には、出版労連中部地協と千代田区労協の共催で緊急に、憲法・教育基本法改悪反対阻止、共謀罪法案反対のデモ行進を行いました。そして、憲法をめぐる国会での改憲策動が強まってきた今、「日本国憲法とわたしたちpart3」として第15回千代田平和集会を6月29日に開催しました。講師は、法学館憲法研究所所長・伊藤塾塾長の伊藤真先生で、「今こそ憲法を考えよう〜今を生きる私たちの責任」と題して明快に、時に熱く語りかけ、法律の素人にも非常にわかりやすくてすばらしい講演となりました。昨年に引き続き500名を越す参加者の集会となって成功に至ったのは、事前に実行委員会での議論、昨年以上に単組オルグを実施した成果が現れたものです。また、この実行委員会において、「国民投票法案について」また、「教育基本法改正の背景と現在の状況について」の学習を深めることが出来ました。
 一方、平和集会と同日に東京地裁は、「国公法弾圧・堀越事件」に不当判決を下しました。この間「国公法弾圧を許さない会」を軸に堀越さんの無罪判決をめざす集会への参加や裁判傍聴、地裁要請に取り組みましたが、今回の判決は、違法捜査の下、多くの国民が警察監視に置かれるようになりかねないものです。国家公務員の政治的自由の拡大を求める運動も背景に判決の不当性を追及する取り組みが今後とも必要です。
 これからの1年間、平和と民主主義を守るたたかいの正念場です。日本を再び戦争をする国にさせないために、憲法・教育基本法改悪を阻止するための大きな運動を広げていくことが重要です。
 @職場や地域で「九条の会」の結成を呼びかけ、学習会や交流会を進めます。
 A国民投票法案、共謀罪法案、教育基本法改正案の廃案をめざして、組合、市民行動によって世論に訴えるように取り組むようにします。
 B69行動に継続して取り組み、各団体と協力して大きな動きとします。
 C第16回千代田平和集会へ向けて早めに準備を進め、前回を上回る規模の集会となるようにします。
 D国公法弾圧事件の不当判決を許さず、国民の言論や表現の自由を守るべく引き続き運動を強化します。

(7)文化・スポーツのとりくみ

 この1年間、第7回千代田写真展(出展者24名、68作品)、第8回千代田写真展(出展者23名、56作)、第13回千代田スキーパーティ(志賀高原、37名)
 第20回すずらんまつりに取り組みました。
 今期もこれらは恒例となっている「千代田写真展」「千代田スキーパーティ」「すずらんまつり」に取り組んでいきます。また、観劇、鑑賞など文化活動を進めていきます。

(8)争議組合・争議団の勝利をかちとるたたかい

 今年度、勝利和解した争議は、日本ケミファの争議と目黒電波測器、三興管理・白石争議です。その勝利の要因は裁判をたたかいながら、職場・地域から運動を大きく広げて経営を包囲したことです。日本ケミファは2005年年末に報告集会が行われ経営再建に向けて労使共同の努力が進んでいます。目黒電波測器は、自主再建による運動が軌道に乗りつつあるところで2006年6月に解決し、9月に報告集会が行われました。
 現在、千代田争議団共闘会議に結集している争議団は明治乳業、昭和シェル石油、少年写真新聞、東京商科今井、国金発展会、東和システム、日本曹達障害者差別、鈴木職業病、じん肺など各争議です。それぞれの争議がいま重要な局面を迎えています。また1047名解雇の国鉄闘争も重要な局面をむかえています。
 司法の反動化は、日本曹達事件のように、明らかに障害者差別の事件であるにもかかわらず、労働組合側には絶対勝利判決を出さないことで意思統一をしているかのようにみえます。資本の側は労働法制の改悪を一貫して画策している、その背景にはグローバル化経済の下、大資本の利益をより増大化させるためのものであります。
 争議はその時々の政治・経済政策と私たち労働者・国民との鋭い対決点であります。現在、非正規雇用が約1600万人といわれ、未組織・無権利状態のまま放置されています。
 千代田区労協は千代田争議団との協力共同を「4つの基本」「3つの必要条件」を基本に、たたかいを発展させていきます。
「4つの基本」
 @争議団の団結強化A職場からのたたかいの強化B共闘の強化C法廷闘争の強化
「3つの必要条件」
@要求を明確に A情勢分析を明確に B敵を明確に

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 W たたかいのすすめ方


 大幅賃上げ、最賃制確立、労働法制改悪反対、減税、時短、消費税増税反対、社会保障制度改善、人べらし「合理化」反対、労働基本権回復、憲法・教育基本法改悪反対、平和・民主主義を守るたたかい、教科書問題など、全労働者、国民共通の要求実現のたたかいは、千代田区春闘共闘委員会を基軸にすすめます。
 千代田春闘共闘委員会の設置および組織運営はつぎのようにおこないます。
@ 千代田区春闘共闘委員会の設置
 各単産の地域組織、千代田区労連、千代田争議団、各民主団体、区労協未加盟組合にも広く呼びかけ、千代田区春闘共闘委員会を設置します。
A 千代田区春闘共闘委員会の任務
 労働者・国民の要求実現をめざして、共同行動を国会、政府各省、財界団体、独占企業本社、および自治体などに対して組織します。たたかいの山場には、区内の労働者と民主勢力が総決起する「千代田総行動」を配置してたたかいます。
B 千代田区春闘共闘委員会の組織運営
 加盟単組団体の代表者からなる単組代表者会議を意思決定機関とします。幹事体制は、区労協常任幹事と各参加団体の代表者によって構成します。
C ブロック春闘共闘の設置と役割
 春闘共闘全体の運動を、地域、職場のすみずみまで浸透させるために、区労協の4ブロックに春闘共闘を設置します。幹事体制および機関運営は、春闘共闘に準じて行います。ブロック春闘共闘の役割は、春闘をたたかう隣近所の労働組合がお互いにはげましあいながら、手をつなぎあえるように、交流やオルグ活動を、日常的・系統的に強め、春闘共闘全体として取り組み、統一オルグ、統一宣伝などの諸行動、および「千代田総行動」の主力部隊としての役割を担います。
D 各産別地域組織との連携
 地域での共同行動の発展にとって、地域の産業別組織と春闘共闘は車の両輪のようにかみ合わせてすすめることが必要です。各代表が春闘共闘の幹事の任務についてもらうほかに、お互いの意志疎通をよりいっそうはかるため、随時、懇談会などを開くよう努めます。
E 未組織労働者との連携
 国民春闘路線を発展させる立場から、未組織労働者や住民各層に対する働きかけを強め、駅頭宣伝、全戸配布、国民的要求をかかげた署名行動などに取り組みます。
F 区労協加盟組合や区内未組織労働者からの支援・共闘の申し入れおよび千代田区を主戦場にたたかう全国各地の争議組合、争議団からの支援要請については、常任幹事会の議をへて、当該労働者・労働組合・争議団の主体的力量が強化され発揮できるよう十分配慮して支援・共闘をすすめます。

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 X たたかいの目標

(1)生活と権利を守り「合理化」に反対するたたかい

(1)生活と権利を守り「合理化」に反対するたたかい
1.政府の大企業奉仕の政策を国民本位のものに転換させよう。自民・公明で労働者・国民犠牲の政策をすすめる自民党政治を打破しよう。国民いじめの構造改革・規制緩和をやめさせよう。
2.軍拡と国民収奪の臨調「行革」路線,地方「行革」路線に反対し、国民ののぞむ真の行財政改革をかちとろう。
3.郵政民営化反対、国民の共有財産を守ろう。
4.銀行業界の公的資金導入をやめさせよう。
5.賃金抑制攻撃をはねかえして大幅賃上げをたたかいとろう。
6.公務員賃金の改善をかちとろう。
7.成果主義に反対し、差別賃金制度を撤廃しよう。
8.地域最賃を時間給1000円以上、日額7400円以上、月額15万円以上に引き上げさせよう。全国一律最低賃金制を確立しよう。
9.公共料金の引き上げをはじめ物価値上げ阻止し、インフレ政策をやめさせよう
10.消費税増税反対・サラリーマン増税反対。大企業への減免税措置撤廃など不公平税制の是正と所得税・住民税の大幅減税をかちとろう。
11.年金改悪に反対し、安心して老後の生活ができる年金制度を確立しよう。
12.医療保険制度改悪・混合診療解禁反対。安心してかかれる医療制度を作ろう。
13.育児休暇と介護・看護休暇制度を確立・拡充しよう
14.JRの1047名の解雇撤回、不当労働行為をはねかえし、公共鉄道事業の復元をかちとり、利用者の安全を守ろう。
15.首きり「合理化」をはじめとしたリストラの名による労働者攻撃をやめさせよう。「解雇規制法」を制定させよう。
16.定員削減、単身赴任、不当配転など労働者への権利侵害をやめさせよう。
17.時間外労働規制、深夜残業廃止、サービス残業をなくさせる取り組みを強化し労働時間短縮をかちとろう。
18.週35時間労働制、完全週休2日制、年間実労働時間1800時間以下を確立しよう。区内の全職場で国民祝日の完全有給化、メーデー有給休日、初年度14日以上の年次有給休暇をかちとろう。
19.企業内および産業別の雇用保障協定をかちとり、雇用保障制度を確立しよう。すべての失業者に仕事と生活を保障させよう。
20.労働者保護をその支柱とした労働基準法の無力化をはかる労働契約法反対しよう。
21.ホワイトカラー労働者を労働時間規制の適用除外するホワイトカラー・エグゼンプション制反対。
22.労働者派遣制度を職場の欠員を補充する手段として活用させないため、すべての職場での欠員補充をかちとろう。
23.職場に現存する男女差別,労基法違反をなくすという取り組み、撤廃された女子保護規定の問題など、 男女が平等に健康で働きつづけられる制度をかちとろう。
24.中高年労働者の働く権利を守るため、定年延長,再雇用制度の確立など、雇用の機会を拡大しよう。
25.労働災害、じん肺などの職業病の絶滅,予防,補償の完全実施をかちとろう。療養途中の解雇を阻止し、職場復帰を促進させよう。
27.官公労働者のスト権、団交権の完全回復をかちとろう。不当処分をやめさせ、実損を回復させよう。
28.公務労働者の労働基本権をかちとろう。
29.すべての争議団の全面勝利をかちとろう。
30.中小企業労働者の労働条件を改善し、政府・独占の中小企業破壊政策をやめさせよう。
32.市街地区域内農地への宅地並み課税に反対しよう。
33.主食・水産物・農畜産物など国民食料の自給・安全と安定供給を要求しよう。
34.地球環境問題やすべての公害根絶・恒久対策を実現させ,国民のいのちと健康を守りぬこう。京都議定書を発効させよう。
35.血友病HIVやヤコブ病、イレッサなどあとをたたない薬害の根絶の取り組みを強めよう。また、ダイオキシンをはじめとする環境ホルモン問題、大気汚染の問題などに取り組もう。
36.千代田区内に勤労福祉会館をつくらせよう。
37.区・企業の防災対策を強化させよう。
38.固定資産税評価の抜本見直しをかちとろう。区内の緑とひろばをひろげ、千代田区を住みよく働きやすいまちにするため、住民とともに考え、住民との共闘を強めよう。
39.政府・財界の思想攻撃をはねかえし、職場からたたかう労働組合の統一と団結をかちとろう。

(2)平和と民主主義を守るたたかい
1.日本は世界にほこれる平和憲法をもっています。この憲法の理念を世界すべての人々の共有財産として広めていくことこそ、世界平和ひいては日本の安全を守ることにつながります。憲法改悪反対の運動を強化しよう。改憲に直結する国民投票法案に反対しよう。
 有事3法、テロ特措法、イラク特措法を実効ないものにするためたたかいを強化しよう。
2.「教育の憲法」である教育基本法改悪に反対し、子どもたちを大切にする教育を実現させよう。
3.安保条約廃棄のたたかいを強めよう。基地撤去の運動を強化しよう。
4.軍事費や在日米軍の費用負担(思いやり予算)、を削減・中止させよう。日米地位協定の見直しをすすめよう。米軍用地の強制使用を半永久的にした「特措法」を廃止させよう。
5.アジア・太平洋各国の戦争被害者に対し、とくに元従軍慰安婦や強制労働労働者に対し、正当な国家補償をさせよう。
6.核戦争阻止、核兵器完全廃絶のたたかいを強めよう。
7.核艦船の日本寄港に反対し、いっさいの核持ち込みを阻止しよう。
8.千代田区の「非核・平和都市宣言」の精神を生かし、 積極的に平和事業を実現し参加していこう。
9.自衛隊をイラクから撤退させよう。武器禁輸三原則を堅持しよう。憲法違反の自衛隊の増強に反対しよう。防衛省昇格法案に反対しよう。 10.すべての核兵器の実験、製造、貯蔵、使用の国際禁止協定をかちとり、被爆者援護法を即時制定させよう。原水禁運動の統一をかちとろう。
11.日本の危険な原発政策の見直しやエネルギー政策の再検討を求める運動に取り組う。
12.メディア規制法案に反対しよう。警察拘禁二法の立法化、刑法・少年法改悪、靖国神社などすべての反動立法に反対しよう。
13.小選挙区制・政党助成法を撤廃させる取り組みを強めよう。政党法導入のたくらみに対しては、断固反対してたたかおう。
14.公職選挙法では、戸別訪問の禁止、立会演説の廃止、文書図画の規制などきびしい規制があるが、国民主権の原則や表現の自由の立場から、選挙活動の自由をかちとろう。
15.司法反動に反対し、民主主義を守りぬこう。最高裁裁判官国民審査制度の改正をかちとろう。
16.教科書の検定強化、教育・文化の反動化、軍国主義化に反対し、真実の報道,言論・出版・集会の自由を守ろう。
17.「新しい歴史教科書をつくる会」の歴史・公民教科書を子どもたちにわたさないよう運動を強めよう。
18.国旗・国歌の押し付けをやめさせ、良心の自由からの反対することに対する処分を撤回させよう。憲法違反の「靖国公式参拝」をやめさせよう。
19.再販制を堅持するため、ひきつづき運動を強めよう。
20.国公法による選挙弾圧をやめさせよう。憲法違反の国公法の条文を廃止させよう。
21.基本的人権、結社の自由、団結権・争議権などを侵害する共謀罪を廃案にしよう。
22.憲法違反の破壊活動防止法を廃止させよう。また、プライバシー保護の点から問題の多い盗聴法や住民基本台帳法に反対しよう。
23.公安条例・拡声機規制条例撤廃,労働運動・民主運動に対する権力の介入、弾圧反対、ビラまき・ビラはり・集会・デモ行進などの自由をかちとろう。
24.広範な都民や区民、区内民主勢力の団結の力で革新都政および区政の実現をめざそう。

(3)組織を強化するたたかい
1.組合民主主義を確立し,民主的労働組合をつくりあげよう。
2.すべての未組織労働者のたたかいを援助し,労働組合に組織しよう。
3.区内のすべての労働組合を結集し、区労協を名実ともに全労働者を代表する組織として強化しよう。
4.産業別地域組織との連携をつよめ、産業別統一闘争の発展を地域から強化しよう。

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 Y たたかいのかまえ

(1)組織の拡大


@未加盟組合の加盟促進
 今日の情勢のもとで,区労協が真に区内の労働組合のセンターとして、よりいっそうの役割を発揮するためには、区労協組織の拡大強化が不可欠な課題です。以下の取り組みをおこないます。
T.重点組合の設定と年3回の加盟オルグ行動を行います。
U.区労協の運動を宣伝し、たえず共同行動への参加を呼びかけます。
V.各産別地域組織と連携を密にします。
W.春闘共闘加盟のオルグも積極的に行います。
A未組織の組織化
 未組織の仲間のたたかいを支援し,その組織化をすすめる事業は、労働戦線の統一をめざす基本的課題のひとつです。以下の取り組みをおこないます。
T.各ブロックで未組織ビラ宣伝行動を行います。
U.産別地域組織と連携を密にし宣伝を行います。
V.ホームページで宣伝を行っていきます。

(2)組織の強化

@常任幹事会の執行体制の強化
 区労協の果たすべき役割の重さが増すにともなって、執行機関である常任幹事会の団の強化と指導性の発揮がいっそう求められます。
 このことを自覚して、常任幹事の結集を強めるとともに、三役会議および事務局会議の充実、各ブロック、
 専門部の責任体制を明確にした幹事会運営につとめます。
A他団体との連携
 区内民主団体、住民団体、東京地評や中央区労協との連携をはかります。
 また、弁護団との情報交換、連携強化のための懇談会開催も進めていきます.
B財政の確立
 区労協の組織状況は、ここ数年、企業移転による脱退などで大変きびしいしいものがあります。
 財政確立のためにも、新規加盟組合の促進を追求します。
 また、労金振り込み制による会費の当月納入が全組合に定着するように努力します。

(3)ブロック体制の強化

 区労協の運動を大衆的に発展させるために、重心を下におろし、日常的に行き来できるブロックの規模で交流や相互支援をおこなえるような体制をつくることが重要です。このために、全ブロックが幹事会体制をいっそう強化するするとともに、ブロック会議を定例化するなど、活動の継続性をさらに強めていく必要があります。ブロック会議は神田・神保町ブロック8回、麹町ブロック7回の会議を開催しました。会議の参加状況は、常幹のほかは麹町で3単組、神田・神保町ブロックで1単組で一部の単組にとどまっています。日比谷ブロック、大手町・丸の内ブロックでは1回も開催できませんでした。
 全ブロックにおいて会議を開催することや、一つでも多くの組合が参加できるように会議の連絡体制を強化、オルグ活動を強化するなど会議への結集を強めていく必要があります。また、ブロック独自の活動の取り組みを進めていきます。今年度もこうした課題を実現させ、活動を発展させるために
@常任幹事を中心にブロック三役体制を確立します。
Aブロック会議のオルグ活動を強化します。
Bブロック総会を開催し、年間方針および春闘方針を策定し行動します。
Cブロック活動を身近に感じる運動づくりからも、ブロックニュースを発行します。
Dブロックの幹事の合同会議を適宜開催し、運動の交流をはかります。 (4)専門部体制の強化

(4)専門部体制の強化

★組織部★
 この1年間、未組織の駅頭宣伝行動を神田駅で行いました。千代田総行動の朝ビラで未組織への宣伝を行いました。加盟促進でオルグを行い1組合が新たに加盟しました。
 今期は次の方針で取り組みます。
 [未加盟組合対策]
 @ブロック総会、春闘討論集会など機会をとらえてオルグ活動をおこない、未加盟組合の参加を要請する。
 A各ブロックごとに春闘前までにリストを作成し、加盟促進行動を計画する。
 B各単産との連携を密にして交流をはかる。
 C区労協主催の未加盟組合懇談会を年1回開催する。
 [未組織対策]
 @各単産との連携で今期の重点未組織労働者のリストを作成します。
 A区労協独自のビラ配布行動(総行動時)、各単産との共同で未組織ビラ配布行動をおこないます。
 B組織問題についての学習会を開催する。 

★教宣部★
 機関紙を5回発行しました。年末一時金と春闘での要求・回答情報を発行しました。総行動のビラ、
 消費税増税反対のビラ、69行動のビラ、平和集会の宣伝ビラなどについての教宣部としての役割を果たしました。
 今期は次の方針を掲げてとりくみます。
 @機関紙を毎月発行します。とくに憲法問題関係のニュースを充実させます。
 Aホームページの内容を充実させていきます。
 B部会を開き、とりくみを強めます。

★政治共闘部★
 政治共闘部としての会議はもちませんでしたが、「平和と民主主義を推進する千代田の会」に参加してきました。
 今期は憲法改悪阻止の運動を中心に平和集会や教育基本法を守るたたかいを強めていきます。

★争議対策部★
千代田争議団への参加、各支援共闘会議に参加をしてとりくみをすすめました。
 部会は開くことができませんでした。今期は次の方針を掲げてとりくみます。
 @すべての争議のたたかいを区労協あげて支援できるよう体制をつくります。
 A千代田争議団との連携を強めます。
 B争議状況を知ってもらうために、区労協機関紙の活用を図るとともに、
  各争議団とも連携してとりくみをすすめます。
 C千代田争議団の物販・カンパ活動の支援をいっそう強めます。

★文化部★
 千代田文化実行員会や文化団体の協力を得ながら演劇など職場に広げるとりくみをおこないました。
 しかし、部会は開きませんでした。
 今期も写真展を開催します。また、部会を開き、とりくみの具体化をすすめます。

(5)共闘と連帯

 1)区労協長年にわたる戦闘的伝統を地域の運動に生かしていくために、要求の実現に向けて、
  要求が一致するあらゆる労働組合や市民団体との共闘、統一行動を積極果敢にすすめます。
 2)国民生活を守り抜くとともに、民主主義の擁護と日本の平和、安全をかちとるために、
  広範な民主勢力を結集した巨大な戦線をつくりあげ、政治の革新をめざしていきます。
  運動を進めるに当たっては、討論の機会を持つなどして加盟組合の自主性を尊重します。
 3)区内の民主勢力との共闘をすすめるにあたっては、一定の自己規律と秩序を維持し、
  いわゆる暴力集団とは共闘しない方針で臨みます。

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